あらすじ
新進気鋭のIT企業、「スピラリンクス」の最終選考に残った6人。
しかしその最終選考で、事件が起こる。
「〇〇は人殺し」
告発文の出現によって、物語が一気に動き出す。
一体犯人は誰か。
嘘つきは誰なのか。
読後の感想
ストーリー展開が二転三転するので、
まるで気持ちがジェットコースターに乗っているかのように、
揺さぶられた。
自分は、小説のラストを読むシチュエーションにこだわるので、
「そして、真犯人が、誰であったか。」という一文で、真相がわかったところまで読んで、
こっから先は、週末にお酒を呑みながら読もうと決めた。
いざお酒を呑みながら読んでいると、
「まだここから話が展開していくんかい」と、
冗談抜きで、心臓がバクバクいうくらい興奮した。
お酒が入っていたという事情は置いておく。
それくらい、予想を見事に裏切ってくる小説だった。
この小説を読んで、自分の人の見方が少しだけ変わった気がした。
月の裏側

就活生という、おそらく人生で一番自分と向き合う時期。
モラトリアムから卒業し、
社会という得体の知れない大海原へ出航する覚悟を決める時期。
その人生の猶予期間の学生と、
社会の荒波に飲まれる社会人の狭間の姿がリアルに描かれている。
まあ、自分は公務員を目指していたので、就活らしい就活はあまりしていないが。
そして見事に試験に落ちた。
その結果、自分と向き合うことから逃げ続けた。
話を戻すが、就職という今後の人生のほぼ全てを決める一大イベント。
自分はどんな人間なのか。
どんな人間になりたいのか。
どんな人間だったら、社会で輝けるのか。
どんな企業だったら、理想の人間になれるのか。
その企業に入るためには、
どんな人間を演じればいいのか。
一体自分は何者なのか。
そんな自問自答が繰り返されるから、
人間は、何個も仮面をつけ替えるのかもしれない。
作中で語られる
「月――地球からは絶対に裏側が見えないって。(中略)月の裏側ってどんなふうなんだろうって」
という言葉が印象に残った。
もしかしたら、今良好な人間関係だと思っている人は、
表側しか見えていないかも知れない。
逆も然りで、嫌いな人の裏側を見れば、もしかしたらいい人なのかもしれない。
そんなことまで考えてしまった。
そういえば、自分には嫌いな上司がいる。
理不尽だし、
高圧的だし、
短気だし、
嫌味も多いし、
人によって態度変えるし、
嫌いな理由なら延々と書けるほど、嫌い。
そんな上司だが、自分の貧乏さを見かねて、
「金貸してやろうか」と言ってきたことがあった。
もしかしたら利子取る気かもしれない…。
なんてこと考えちゃうくらい意外な言葉だった。
もしかしたら、自分もこの上司の表側しか見ていないのかもしれない。
少しは良いところにも目を向けよう。
この物語を読んで、そんなふうに思った。
だから、今日も自分一人理不尽なスケジュールの仕事を渡されても、イライラせずに、「間に合わないので、残ってやっていきます」と報告した。
至って前向きに。
そしたら、
「当たり前だろ。他の人全員帰るけどな。」
だって。
やっぱりコイツのことは嫌いだ。

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