ポン酢に人生を任せた夜― ビンゴで当たった野菜と、水炊き鍋と、少しだけの親孝行 ー【一人呑み ひやしぼり】

一人呑み

◉本日のメニュー
・[水炊き鍋]ポン酢に全責任を負わせる鍋
・[日本酒] 吟醸ひやしぼり

先日母親を日帰り温泉へ連れて行った。
その時、「お野菜ゲットビンゴ大会」なる催し物が行われていた。
ビンゴの景品として、地元のお野菜がもらえるようだ。
母親が欲しがっていたので、自分の運を使い果たしてゲットした。
母親は、「温泉連れてきてくれて親孝行したから、神様が運をくれたんだね」
と言っていたが、こちらの主張は、
「母親が欲しがってたお野菜をゲットする親孝行の為に、運を使った」のだ。
できることなら、ビンゴでお野菜じゃなく、
宝くじで1億円が欲しかった。

せっかくもらったのに、そんな事を言ってるから宝くじが当たらない訳で、
反省しつつ、半分もらったお野菜を使って鍋にすることにした。
冬が終わってしまいそうだから。

鍋には絶対日本酒だろ。
そう思ったのだが、私は熱燗の甘ったるい感じの良さに気づけていない。
そして、邪道だと言われるのを覚悟で言うが、日本酒のロックが好きだ。
キリッとして呑みやすい。
だから罪悪感を薄める為に、「この名前の日本酒ならロックでもいいのでは」と思ったものをスーパーでゲット。

ハフハフ言いながら鍋をつついて、
口の中をポン酢の酸味でいっぱいにした後、
キリッと冷たい日本酒で流す。

あぁ、日本に生まれて良かった。
お野菜もらえて良かった。
母親が生きているうちに温泉に連れて行けて良かった。

親孝行なんて大それたことはできていない。
今の自分の状態じゃ、できることも限られる。

やれる範囲でしかできないけれど、
あの日、母が嬉しそうに野菜を抱えていた顔を思い出すと、
少しくらいは意味があったのかもしれない。

私はまだ、親の心子知らずなのだろう。

そう思いながら、
少し冷めかけた鍋をもう一口すする。

ポン酢の酸味が、さっきより少しだけやさしく感じた。

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