健康診断と透きとおった物語 【一人言 日記】

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先週、健康診断があった。

「見た目じゃわからないから、透かして内側を覗いてやろう」
そんな悪意を、勝手に想像してしまうから、健康診断が好きじゃない。

そして、なぜウチの会社は、
一年で一番飲み食いが続く1月に、健康診断を行うのだろう。

「肥満」や「C判定」という文字が、心臓をキュッと締め付けてくる。
これのほうが、身体に悪いと思う。

そして自分にはもう一つ、健康診断のたびに心配していることがあった。
それが、肺だ。

かつての自分は、かなりのヘビースモーカーだった。
20代の頃は、タバコとコーヒーがあれば、2、3日生き延びることができた。
それくらいの愛煙家だった。

ところが30代になってから、突如「胸部X線」でE判定が出た。
「肺に影のようなものがみられる」

この一文に、震え上がった。

恐怖と不安が湧き上がり、
混ざり合い、
頭が真っ白になった。

肺は真っ黒なのに。

その結果、自分が取った行動は……「逃避」だった。
見なかったことにして、その後もバカスカ吸い続けた。

しかし、ある日を境に、自分はタバコを吸わなくなった。
やめようと思ってやめたわけではない。
それでも結果的に、8年間、禁煙が続いている。

その間の健康診断で、「胸部X線」はすべてA判定だった。

「肺はタバコをやめて10年で綺麗になる」

『1%の努力』(ひろゆき著)で、その言葉を知った。

身体を透かされることに、
恐怖と不安で慄いていた自分が、
今では透かされることによって、
健康診断で唯一の安心を手に入れることができた。

いつまで続くかわからないが、禁煙は継続したい。
お金もないので。

健康診断で、唯一うれしいことがある。
それは、健康診断が終われば「半ドン」になることだ。

ちなみに「半ドン」とは半休のこと。
オランダ語で休日を意味する「zondag(ゾンダーク)」が訛った
「ドンタク」からきており、
「半分ドンタク」という意味らしい。

どうでもいい知識を調べられるくらい、
健康診断の待ち時間は長かった。

お昼に終わったので、平日の昼間から居酒屋へ入った。
ハッピーアワーらしく、ビールが安い。

前日の夜から何も口にしていなかったので、
ビールが身体に染み渡る。
味わう暇もなく、カラカラの喉を潤すため、ひたすら流し込んだ。

本当は、本でも読みながら飲もうと思っていたのだが、
店内がガヤガヤしていたので、動画を見ながら一人呑みを楽しんだ。

家に帰り、楽しみにしていた本を読みつつ、
ウイスキーを味わう。

ウイスキーの、輝きを纏った茶色が、
透明な氷を通して、グラスに映える。

そんなウイスキーのお供の本は、
『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光 著)。

有名な本なので、今さらと思われるかもしれない。
それでも、本当に読んでよかった。

透きとおって、良いことは、ここにもあった。

今どき、本は「面白い話が書ける」だけでは成立しないのか。
なぜ、こんな発想が思い浮かぶのか。
それこそ、作者の頭の中を透き通らせて、見てみたい。

よく言う「記憶を消してもう一度読みたい」本だ。
もし、まだ読んだことがない方がいたら、
何の情報も入れずに読んでほしい。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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