
『孤独からはじめよう』中野善壽著 について
オーディオブックでの出会い
先日せっかくオーディオブックに登録したので、現在気になる本を聴きまくっています。
そんな中、「孤独研究家」の自分としては、とても気になるタイトルの本と出会いました。
その名も『孤独からはじめよう』。
自分に寄り添ってくれるようなタイトルの本との出会い。
そう思いました。
消毒液のような本
正直、抱いた感想は、「思ってたんと違う」でした。
自分は孤独と聞くと、暗く冷たいイメージを抱きます。
その暗さにどっぷりと浸かって、重たい空気を纏わせてくれる本。
増え続けた小さいすり傷が、もはや大きな傷となっている自分のような者に、
小さなカサブタを作ってくれるような本。
そんなことを想像していたのだが、むしろすり傷に消毒液を塗りこんでくるくらい、
爽やかな本でした。それくらい、自分にとっては胸に突き刺さるような内容で、
まさに荒治療になる本でした。
著者の中野善壽さんは、寺田倉庫株式会社代表取締役社長、株式会社鈴屋代表取締役専務などを歴任して、ACAO SPA & RESORT代表取締役会長を務める実業家の方です。
その経歴を表すかのような聡明な考え方や、自身の生い立ちから強さを身につけられた経緯など、
自分とは住む次元が違う人間だというのが、率直な感想です。
ただ、そんなこと言ってもただ読んだだけになってしまうので、少しでもダメな孤独の自分からの脱却を図りたいです。
個と孤独と孤高
中野さんの孤独は、一言で言うなら「孤高」。
周囲の人間・環境に左右されない、自分、すなわち「個」を持っている方でした。
その「個」を大切にすることが「孤独」であり、
孤独に向き合って、周囲に認められることで「孤高」の人になるのだと思いました。
そして、周囲とうまく共存することも、中野さんの考える「孤独」なのだと思います。
弱い自分をさらけ出し、人に頼る。人に頼める力こそ、個で生き続ける力。
ただ、そこには依存というものがない。
依存がないから、中野さんはいろんな人と繋がりがあるのに、「孤独」と表現するのだと思いました。
新たな孤独を求めて
今に自分は、失うものがないという、強みがあることを理解していない、
脆弱な孤独です。
孤独なら尚更、何があろうと困るのは自分だけです。
今更みてくれや世間体を気にしてもしょうがないのです。
中野さんは、ご自身のことを強い人間ではないとおっしゃっています。
それは、謙遜でもないとも。
確かにそうなのかも知れません。
自分からしたら、とてもそうは思えないですが。
だからこそ、強烈に消毒液を塗り込まれた気がするのです。
「お前の遥か上の私ですら、必死に生きているぞ」
そう言われているような気がするのです。
自分のような人間は、妬み僻みを募らせたところで、余計弱くなるだけです。
この本が、自分にとっての新たな孤独の始まりだった。
いつかそう思えるようになりたいです。
まずは、自分という存在を受け入れ、みてくれを気にしない。
そして弱さを認め、人に頼り、それでも自分の中の感性を大事にする。
そこから、新たな孤独を始めたいと思います。
本の中では、もっと濃密な中野さんの孤独への考えが詰まっています。
気になる方は、一度読んでみてください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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