12:10。
目的の地へ辿り着く。
そこは居酒屋。
居酒屋での一人呑みだ。
居酒屋には、選ぶ基準がある。
それは、生ビールが安いこと。
私は基本的に家呑み派で、外で呑むことは滅多にない。
なぜなら、ハイボールが薄いからだ。
この薄さにお金を払うなんてもったいないと思ってしまう。
だから、味が変わるどころか、家呑みより美味しく感じられる生ビールばかり呑む。
なので、できるだけ生ビールが安い店がいい。
今回の居酒屋は299円。
しかもクーポンで1杯無料。
お通しのキャベツはおかわり無料なので、元を取るため食べまくる。
これだけでお腹いっぱいになる。
12:00にブックオフを出て、10分後に到着するよう計算して歩く。
12時開店の店にちょうど12時に入ると、来る気満々だったみたいで恥ずかしい。
店内に入ると、すでに大学生らしきグループが騒いでいる。
まだ開店して10分しか経っていないのに、もう酔っているのか。
それくらいテンションが高い。
カウンターに座り、生ビールを注文する。
お通しのキャベツをバリバリつまみながら待っていると、すぐに運ばれてきた。

「いただきます」
小声で呟き、一気に流し込む。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。
炭酸の爽快感が広がる。
まだいける。
ゴクッ、ゴクッ。
喉が少し痛くなってきた。
ゴクッ……プハー。
この喉のシュワシュワ感がたまらない。
目にはうっすら涙も浮かんでいる。
その間、大学生グループはスマホからビートを流し、ラップを始めた。
泥酔しているのか?
そんな彼らを横目に本を手に取る。
呑みながら本を読む。
これがまた、たまらない。
しかし酔ってくると内容が頭に入ってこないことがある。
だから簡単な本がいいのだ。
しばらく本と生ビールを楽しんだあと、本格的につまみを探し始める。
値段と食べたいものをよく吟味して、決めたのは焼き鳥盛り合わせ。
まずは塩つくね。
鶏の旨みと塩が最高にマッチしている。
すかさずビールで流し込む。
次は砂肝。
コリコリの歯応えがたまらない。
最後はモモ。
モモはタレが好きだ。
焼き鳥の甘じょっぱいタレと、モモの肉肉しさが最高。
焼き鳥 → ビール → 焼き鳥 → ビール。
最高の無限ループが繰り返される。
そんな幸せに浸っていると、大学生サイファーも佳境を迎えていた。
「俺が世界を変えるぜ、イェ。だから家に帰るぜ、フォー!」
若いって素晴らしい。
きっと本当になんでもできる可能性を秘めているのだろう。
そして本当に帰っていった。
滞在時間30分。
ラップしに来たんか。
大学生グループに気を取られていたが、居酒屋のカウンターには何人かの一人客がいた。
新聞片手に日本酒をちびちびやるおじさん。
スマホを見ながら呑んでいる、20代くらいの若い女性。
みんなそれぞれのスタイルで、一人呑みを楽しんでいる。
一人で呑んでも楽しいのだ。
最後の〆に、クーポンで無料だった角ハイを飲み干す。
やっぱり薄い。
でもタダだからいいのだ。

散々楽しんで、2,000円ほど。
幸福度から言えば、かなりお安い。
時刻は午後1時半。
街の賑わいに取り込まれる前に家へ帰る。
これが孤独を感じない休日のポイントだ。
家に帰ってもまだ明るい。
なのに、1日をすごく楽しんだ気がする。
これが充実感を増幅させる。
家に着いたらリラックスして、本を最後まで読み終える。
短い本を選ぶことで、1日で完結させる。
この一冊とともに、充実した1日を過ごした。
本の1ページ1ページが、今日の思い出になる。
今回読んだ本は、『トリツカレ男』(いしいしんじ著)。
「トリツカレ男」と呼ばれ、街の人から変わり者扱いされているジュゼッペ。
彼はそのあだ名の通り、何かに熱中するとそれに没頭する。
そんな彼が次にトリツカレたのは、ペチカという孤独を抱える無口な少女だった。
彼女の悲しみに凍える心を、ジュゼッペは温められるのか。
「大人が読むべき童話」といった内容だったが、読みやすく、呑みながら読むには最高だった。
何かに熱中し、没頭できることはとても大切だ。
最高の休日を過ごすことに没頭すれば、孤独も忘れられるのだ。
思い返せば、きちんと言葉のラリーをしたのは、ミスドの店員さんとだけだった。
しかし、今日は孤独を忘れられた。
布団に入って目を閉じれば、また日常へ戻る。
もしまた孤独を感じたら、その時はミスドにまた行こう。
今度は、おかわりもらうのも、会話のラリーもスムーズにいきますように。

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