世界で最も1人になれる空間。
世界で最も自分と向き合える空間。
体調の良し悪しもわかる。
人によっては、世界一集中できる場所であり、
人によっては、不快な場所でもある。
時にはスッキリすることもあるが、
時には苦悶で顔を歪めることもある。
我慢し過ぎれば、取り返しのつかないことになる。
かと言って、自分の好きなタイミングで行けるような場所でもない。
普段は、ありがたみを感じない。
しかし、九死の時に求めれば求めるほど、遠ざかる。
苦しい時も、一人で乗り越えなければならない。
嬉しい時も人には言いにくく、自分の中で喜びを噛み締める。
自分のような孤独な者、心弱き者の逃げ場。
それが「トイレ」。
先日、絶体絶命のピンチを迎えた。
腹痛がピークを迎えていた。
田舎道を走っていたので、なかなかトイレが見つからない。
「野…。イヤ、ダメだ。耐えろ」
必死に自分を励ます。
ようやく見つけたコンビニにかけ込み、
トイレを借りようとした。
「助かった…。」
しかし、人生、事は思い通りに進まない。
まさかの使用中。
しかも、先に1人待っている。
スマホを見ながら、気を紛らわす。
トイレの待ち時間の一分一秒ほど、
長く感じるものはない。
1人が出て、先に並んでいる人が入っていく。
「早く終わってくれ!」
心の中で祈る。
どっちだ?
大か小か?
あと2、3分がタイムリミットな気がする。
長い、1秒が長い。
…。
……。
………。
水が流れる…音…?
小だ!
トイレの絶体絶命ほど、最後に報われがち。
颯爽と出てきた、抜群に空気を読める人と、
笑顔で会釈を交わす。
心が通じた瞬間だ。
ドアを押して、いざ解放へ。
ところが、ドアを開けた瞬間、思わず立ち止まる。
「なんだこのトイレ?」
個室の中に大と小2つの便器が共存している。
「もったいねぇ!」
別で存在してくれていたら、もう少し待ち時間が少なくて済むのに。

ともあれ、なんとかなった。
「良かった…。」
無事生還だ。
清々しい気持ちで、待ち望んだ空間に入る。
しかし、清々しさ一変。
鼻が不快を感じ取る。
きっと前の人も腹痛に襲われていたんだろうな。
「痛いほどよくわかる」ならぬ、
「臭いほどよくわかる」ってやつだ。
やはり腹痛はしんどい。
誰かに助けてもらいたい。
でも、誰にも頼れない。
必死でお腹をさする。
しばらくすると、ようやくお腹も落ち着く。
この開放感、誰かに打ち明けたい。
でも、こんな下の話なんか出来るわけない。
第二波に備えつつ、自分と向き合う。
昨日はハイボールを飲み過ぎた。
ウイスキーをケチって、うっすいハイボールにしたからだ。
おかげで全然酔えずに、炭酸水ばっかり摂取していた。
まさに「木を見て森を見ず」というやつだ。
この1人の空間が、1番自分と向き合える。
色々な感情の変化があった。
自分と向き合った。
誰に伝えることもできない。
その結果、
外の世界は、いつも通りまわっている。
ここでの思考が、何も影響していないほどに。
だから、そっと「水に流す」のだ。

コメント